本書はブルガリア語初級者のための入門・参考書です。導入編、構文編、実用編という構成になっています。またブルガリアを旅する人が手に取り、すぐに役立つものとなっています。
　ブルガリア語はスラヴ諸語の南グループに属します。東グループの例えばロシア語と比べると、名詞の格変化の消失、英語の THE に相当する冠詞形（後置冠詞形）があることが特徴といえます。書き言葉ではロシア語と共通する部分が多い一方、話し言葉では大きく異なっていることが新しい発見となるでしょう。
キリル文字が初めての方は少し戸惑うかもしれませんが、幸いブルガリア語は一文字一発音と対応しているので、発音については違和感が少ないと思います。また発音ははっきりと、硬めにすることをお勧めします。
　ブルガリアにはボヤナ教会、マダラの騎士像など多くの世界遺産があります。その魅力は自身の世界観を一新させるほどのものです。一つの言語を学ぶことは、同時にその文化を学ぶことです。本書が読者の方にとって、スラヴ世界への一歩となることを願っています。